あなたの物語、悪役の数が足りてませんよ
詰んだ物語が爆速で動き出す「実は悪いのは別のやつだった!」の裏技
こんにちは、ぴこ山ぴこ蔵です!
小説や漫画を作っていて、こんな壁に突き当たったことはありませんか?
「書き始めたけど、途中で止まっちゃった……」
「このあとどうなるか、全然思いつかない……」
大丈夫です。プロの作家だって、しょっちゅう同じ壁にぶつかっています。物語が止まるのは、“やる気の問題”でも“才能不足”でもありません。
ただひとつ。
「主人公がどこへ向かう物語なのか」がまだ見えていないだけです。
今日は、そんなときに使える「どんでん返しを使った裏技」をお教えします。ただし、この裏技が効くのは特定のタイプの物語だけなので、まずはそこから説明します。
この方法が使える物語、使えない物語
【バッチリ使える!】
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犯人探しがあるミステリー
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裏切り者が出てくる冒険物語
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「真実はこうだった!」と驚く展開がある話
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ハラハラドキドキ系のエンターテインメント
【あんまり使えない…】
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日常生活を淡々と描く話
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しみじみとした気持ちを書きたい話
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恋愛がメインで敵が出てこない話
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雰囲気を楽しむタイプの作品
あなたが書きたいのは前者ですか? それなら、この先を読んでください!
まずは答え合わせ:有名な作品でも使われてるの?
「そんな都合のいい方法、本当にあるの?」って思いますよね。それでは、実際の有名な作品で確認してみましょう。
例1:映画『マトリックス』
主人公ネオは最初、ただのハッカーでした。「この世界には何か秘密がある」と思って真実を探していました。
でも真実を知ったとき、彼はびっくり仰天。自分が生きていると思っていた世界そのものが偽物だったのであります!(これが「実は悪いのは別のやつ」パターン)
それを知った後、ネオの目的は変わります。もう「真実を探す」ではなくて、「人類を救うために戦う」になるのです。
例2:映画『ショーシャンクの空に』
主人公アンディは、冤罪で刑務所に入れられます。最初の目的は「刑務所の中でなんとか生き延びる」こと。
でも物語が進むと、刑務所の所長が実はめちゃくちゃ悪いやつで、囚人たちを利用して金儲けしていることがわかります。(これも「実は悪いのは別のやつ」!)
それを知ったアンディは、新しい目的に向かって動き出します。それは…まあ、ネタバレになるのでここでは言いませんが、とにかく最初の目的とは全然違うものになるのです。
わかったこと=「主人公の変化」
有名な映画や小説というのは、けっこうこの「主人公が変化する」パターンを使っています。つまり、実際に使える技なのだといえます。
主人公は、最初と最後で ちがう自分 になります。 この“変化”こそが、物語を面白くします。
たとえば──
・ダメな自分を超えて成長する
・正しいと思っていたことが、実は間違いだったと気づく
・本当の居場所を見つける
・怒りや悲しみから抜け出し、前に進む
こういう「変わる瞬間」を書けば、誰でも人を引きつける物語が書けます。
主人公は最初、気づかないうちに“周りの常識”に従っている
人はみんな、職場・家族・学校・部活・地域などの「共同体」に守られて生きています。 主人公も同じで、最初は自分の周りの常識に従って動きます。
「このルールは絶対だ」
「親の言うことが100%正しい」
「会社では上司や先輩の命令が全て」
「村には“やってはいけない掟”がある」
主人公は、気づかないうちにこういう“共同体の常識”に縛られています。
でも、ある事件で“常識がくつがえる”
主人公が変わるためには、衝撃的な出来事が必要です。
そのきっかけが、
「敵はAだと思っていたら、実はBだった!」
という“どんでん返し”です。
これが起きると、主人公はこう思います。
「えっ!? 今まで信じていたのは間違いだったの?」
このショックが、主人公を変化へと押し出します。
どんでん返しの仕組みは簡単
● A……悪いことをしたと思われている人
(クラスの問題児、ライバル、よそ者など)
● B……本当は裏で悪さをしていた人
(先生、親友、直属上司、家族など“主人公が信じていた人”だと強烈)
● 事件
Aが犯人/敵/悪者だと思っていたのに、じつはBが黒幕だと分かる!
これで主人公は、世界の見方を変えざるを得なくなります。
それではここまでを超簡単なあらすじにしてみましょう!
どんでん返しサンプルあらすじ
中学二年の遥斗(はると)は、部活のサッカー部で「先輩の命令は絶対」という空気を当たり前のように受け入れていた。 家でも親の言うことは100%正しいと思い込み、「学校でも家でも、自分は言われた通りに動くのが正しい」と信じて疑わなかった。
ある日、部室の備品が壊される事件が起き、問題児として有名な一年の犬崎が「やったに決まってる」と先輩たちに責められる。 遥斗も「犬崎はいつも態度が悪いし、あいつしかいない」と思い込んでいた。
しかし、事件の翌日。 遥斗は偶然、部室の裏で顧問の先生・猫藤が破損した備品を隠すように処理している姿を目撃する。 さらに、猫藤が学校予算の不正使用を隠すため、Aに罪をかぶせようとしていた証拠まで見つけてしまう。
「え……? 犬崎じゃない……? まさか……本当の犯人は先生……?」
今まで絶対に正しいと思っていた“共同体の常識”が音を立てて崩れ、 遥斗は初めて、自分の目で世界を見直そうと決意する。
いかがでしょうか? ここには派手なオープニングも、クライマックスもありません。結末さえ描かれていません。ここに提示されたのは、「変化前」の主人公と、「どんでん返し」、そして「変化後」の主人公の心情です。
でも、これだけで、物語の骨格をはっきりさせるには充分なのです。
まずはこれだけ作ってしまいましょう。
他の要素、例えばオープニングやクライマックスや結末を考えるのは、作者にとって「楽しい作業」なので、放っておいても作れます。
それに対して、物語の中盤を構成する事件の概要、そして偽物の敵の行動や本当の黒幕の動機。この辺の複雑な因果関係を組み立てるのが大変なのです。多くの人はここで挫折します。
だからこそ、最初に「どんでん返し」のタイプを選ぶことでシンプルな設計図を引いておくと頭がごちゃごちゃになりません。
魔法の質問:3つのステップ
さあ、あなたの物語に使ってみましょう。たった3つのステップです。
ステップ1:主人公は最初、何をしようとしているのか?
まず、物語の始まりを思い出してください。
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主人公はどんな世界にいますか?
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何を達成しようとしていますか?
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なぜそれをやろうとしているのですか?
例えば:
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「学校の七不思議を解明する」
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「宝の地図を頼りに財宝を探す」
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「盗まれた家族の指輪を取り戻す」
これを「最初の目的」とします。
ステップ2:「実は悪いのは別のやつだった!」を考える
ここが一番大事。主人公が信じていたことが、実は間違っていたという展開を考えるのです。
パターン:
「Aさんが犯人/敵/悪者だと思っていたけど、実は違った。本当の悪者はBさんだった!」
書き方にはいろんなバリエーションがあります。例えば:
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学校の怪談の犯人は幽霊だと思っていたけど、実は教頭先生が何かを隠すためにやっていた
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優しそうなお爺さんがくれたのは宝の地図だと思っていたけど、実は罠だった
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指輪を盗んだのは怪しい骨董品店の主人だと思っていたけど、実は親友の兄だった
書式にはあまりこだわらなくていいので、あなたが仕掛けたい驚きにしっくりする形で「A」と「B」の関係を言語化しましょう。この「どんでん返し」が物語を動かすエンジンになります。
ポイント: ただビックリさせるだけではダメです。読者が「そういえば、前にちょっと変なことがあったな…」と思い出せるように、ちゃんと伏線を仕込んでおくこと。「ヒントは確かに出ていたのに!」と悔しがらせるのが読者をリピートさせるコツです。
ステップ3:じゃあ次に主人公は何をする?
さて、真実を知って価値観がひっくり返った主人公は、もう最初と同じことはできません。
主人公をもう一度動かすためには、新しい目的が必要なのです。
そこで主人公は初めて「自分の意思」で未来を選ぶことになります。
この「主人公の未来の選択肢」ですが、実は3つに分類できるとぴこ蔵は考えています。
もちろん細かく分けようとすればいくつでも設定可能ですが、選択肢は少ないほうが整理しやすいもの。
思いきって類型化し、数を限定して考えたほうが、むしろ自由度が増して後の展開を思いつきやすいのです。
では、その3つとは何か?
次回はその話をします。お楽しみに!
どんでん返しについて:もっと深く知りたい、もっと鮮やかに仕掛けたい、そんな方はぴこ山ぴこ蔵のサイト「あらすじドットコム」で詳しく解説してますので、いろんな無料講座を読んで下さい。
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