物語創作:面白いプロンプトの作り方 2/4
プロンプト作りのコツ
こんにちは、ぴこ山ぴこ蔵(PIKOZO)です!
前回は「陰謀論的歴史劇生成プロンプト」の完成形をご紹介しました。実際に使用すれば物語が生成されますが、あれだけではさすがに全貌は理解できなかったかもしれません。
でも、ゴールとなる成果物を最初に提示しておくことで、実戦に有効であるとご理解いただけたと思いますし、疑問点も浮かんだのではないでしょうか。
そこで、今回はプロンプト作りのコツの詳細な解説をします。
⭕まずは順番を決めよう
いいプロンプトは、お願い文ではなく、設計図です。ダメなプロンプトとはこんな感じです。
「面白い歴史改変の話を作って」
これだとカバーしなければならない範囲が広すぎます。漠然とした指示では、AIは何を重視すればいいか分からないので、無難な答えになりやすいのです。結果的に「間違いとは言い切れないが何かボンヤリ違和感があるなあ」というちょっと寂しい気持ちにさせられるのです。
一方、前回やったのはこういうことです。
・ 何を題材にするか
・ どんな面白さを狙うか
・ どの順番で考えるか
・ 最後にどんな形で出すか
これを、先に決めたわけです。つまり、AIに丸投げしたのではなく、考えるべき順番を提示したというわけです。「これだけはカッチリ話し合おうぜ!」と釘を差したのです。
⭕プロンプトができるまでの流れ
前回の流れを、すごく単純化するとこうなります。
▼基礎理論1. 作りたい「面白さの正体」を見つけるべし
最初は本能寺の乱を、「真犯人は光秀ではなく秀吉だったら?」という発想で組み立てました。
しかし、それだけではまだまだです。ただの「犯人入れ替え説」は、一回驚くと終わりだからです。
そこで……
・ 最初は表向きの犯人を信じさせる
・ 次に、その犯人も誰かに動かされていたと分かる
・ 最後に、本当に恐ろしいのは“事件”ではなく“歴史の語られ方の支配”だと分かる
――この三段階にして、しつこくひっくり返し続けました。
これが「三重のどんでん返し」です。つまり最初に作ったのは文章ではなく、最低限の面白さを担保する仕掛けということになります。
▼基礎理論2. 「毎回同じように使える形」にするべし
本能寺だけで終わるなら、その作品だけ作ればいいのですが、今回はゴージャスに、いろんな歴史事件に使えるようにしたかった。
そこで、「赤穂浪士の討ち入り」「坂本龍馬暗殺」「関ヶ原の戦い」他のさまざまな事件にも当てはめてみました。文字数の制限の都合で、本能寺バージョンしかご紹介できませんでしたが。
すると、どの事件でも必要な要素は、だいたい同じでした。
問題は何か
表の敵は誰か
真の敵は誰か
主人公はどの立場から見るか
最後に何を選ぶのか
ここまで来ると、作品ごとの違いより、共通する型のほうがはっきりと見えてきます。
この「共通する型」を言葉にしたものが、プロンプトの核です。
▼基礎理論3. AIが迷わないように、順番を固定するべし
ここがかなり大事です。
人間でも、「歴史改変の物語を作れ」だけだと難しいに決まってますから、考える順番を決めました。
問題・敵・目的
主人公の共同体
敵の悪の目標と5つの事件
展開パターン
クライマックスの最大問題
切り札
400字の核
800字のあらすじ
こんな感じです。
つまり、AIに“考える階段”を用意したということです。いきなり長編を書かせるのではなく、まず骨組みを作らせて、そのあと統合させる。これでAIの負担が減り、回答の精度が上がります。
▼基礎理論4. 変数を { } にしてテンプレート化するべし
ここで初めて「プロンプトっぽく」なります。
たとえば……
{歴史事件名}
{真犯人候補}
{主人公候補}
{物語のトーン}
{主題}
――のように、入れ替え可能な部分を見える化しました。これはすごく重要です。なぜなら、プロンプトは一回だけ使うものではなく、何度も使える道具にしたほうが価値が高いからです。
こうして前回やったことは、
1本の作品を作る → 型を見つける → 型をテンプレート化する
という流れです。
⭕じゃあ、自分が欲しいプロンプトをAIに作ってもらうには?
ここからが重要です。
コツは、いきなり「最強のプロンプトを作って」などと言わないことです。それだとAIは、あなたが何を「最強」と感じるのか分からないからです。代わりに、次の順番で頼むといいでしょう。
◆ 実践テク1 まず「欲しい完成品」を言う
最初に言うべきなのは、プロンプトではありません。完成品のイメージです。
たとえば……
歴史事件を三重のどんでん返しで長編化したい
Instagram投稿を量産したい
ホラー短編を一発で作りたい
自分史の第1章を自然に出したい……などなど
つまり、「何を書くためのプロンプトなのか」を先に明確にします。
プロンプトは目的ではなく、道具です。ここを逆にするとブレブレになります。
◆ 実践テク2 「何が面白いのか」を言葉にする
次に必要なのは、あなたの好みです。
たとえば……
犯人入れ替えだけでは弱い
真相が二段三段でひっくり返ってほしい
最後は真実か平和かで迷わせたい
真の敵は歴史の解釈を支配している存在にしたい
……みたいな部分です。AIは便利ですが、あなたの好みまでは勝手に決めてくれませんから、プロンプトを作ってもらう前に、まずは自分でこう聞くといいでしょう。
自分は、この出力のどこに一番ワクワクするのか?
この答えが、プロンプトの設計の中心になります。
◆ 実践テク3 「考える順番」をAIに作らせる
ここがいちばん実用的です。こう頼むといいでしょう。
「この出力を安定して作るために、必要な思考ステップを先に分解してください」
するとAIは……
主人公
問題
敵
目的
伏線
反転
結末
――のように、工程を整理してくれます。
つまり、いきなり完成プロンプトを作らせるより、先に工程表を作らせるほうが成功率が高いのです。これは人間相手でも一緒ですよね。
◆ 実践テク4 再利用可能にしてもらう
工程が見えたら、こう頼みましょう。
「これを再利用できるように、変数を { } にしたテンプレート型のプロンプトにしてください」
これで、毎回ちがう題材に差し替えられる形になります。
たとえば……
{ジャンル}
{主人公の年齢}
{事件}
{真犯人}
{結末の方向}
――のようにしておくと便利です。
◆ 実践テク5 最後に「出力形式」まで決める
意外と見落としやすいところですが、実はAIは、何を、どの順番で、どの長さで出すかを指定するとかなり働きが良くなります。
たとえば……
最初に300字で核を出す
次に全体要約を出す
最後に1200字のあらすじを書く
見出しつきで出す
箇条書きのあとに統合文を書く
――などです。これを決めないと、せっかく中身が良くても、使いにくい出力になります。
⭕実際に使える、プロンプト作成の頼み方
・ 型A まず設計を作らせる
私は {作りたいもの} を安定して出せるプロンプトが欲しいです。まず、良い出力を作るために必要な思考ステップを分解してください。そのあと、再利用できるテンプレート型のプロンプトを作ってください。変数にできる部分は { } で囲ってください。
・ 型B 好みまで反映させる
私は {作りたいもの} のためのプロンプトが欲しいです。私が重視する面白さ/品質は以下です。{重視1}{重視2}
{重視3}まず、この面白さを実現するための設計思想を整理してください。そのうえで、最終アウトプットを一発で出せるテンプレート型プロンプトを作ってください。変数部分は { } にしてください。
・ 型C 改善型
すでに自分のプロンプトがあるなら、こうするといいかもしれません。
以下のプロンプトを改善してください。目的は {目的} です。現状の問題は、{問題点} です。
もっと {理想} に寄せたいです。まず何が足りないか分析し、そのあと改善版を作ってください。
再利用できるように変数は { } にしてください。
⭕いいプロンプトを作るときのコツを、もっと簡単に言うと
・ 1. 先に完成品を決める:何のためのプロンプトかを決める。
・ 2. 面白さの正体を言葉にする:何が好きで、どこに驚きたいかを言う。
・ 3. 工程に分ける:いきなり完成形を求めず、考える順番を作る。
・ 4. テンプレートにする:差し替えできる部分を { } にする。
逆に、うまくいかない頼み方。これは避けたほうがいいです。
「すごいプロンプト作って」「なんかいい感じにして」「面白くして」「完璧にして」
これでは情報が足りません。
AIにとっては、サッカーの監督に「とにかく絶対勝ってくれ」とだけ言っているのと同じです。必要なのは、お祈りではなく作戦です。
⭕プロンプト作りを一言でまとめると
前回やったのは、基本的な作業です。
作品の構想やイメージを練る → その面白さの共通構造を見つける → その構造を再利用できる質問文に変える
もしもあなたが自分の欲しいプロンプトをAIに作らせたいなら、最初にやるべきことは……
「こんな話を作ってくれ」ではなく、「自分が欲しい出力の構造を一緒に見つけてくれ」
――と頼むことです。
明日はこの考え方を基に、段階的にプロンプトを作って、物語を生成します。この手順さえ把握すれば、あなたも「書きたいストーリー」が作れるようになります。
「面白い歴史改変の話を作って」というレベルのプロンプトだと実際にどのような物語が出来てくるのか、そして、解像度を上げていくことによって同じ素材の物語がどう変化するのかをお見せしたいと思っております。お楽しみに!
(3/4に続く)
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