もはや物語に著者はいらないのか?

世界の物語生成エンジン事情
こんにちは、ぴこ山ぴこ蔵です。
今年は長梅雨になりそうですねえ。じめじめするのも困りものですが、それよりも大変なのが、生成AIによる文章自動制作時代の本格的な到来でございます。
私のような怠け者は、SNSへのメッセージはおろか、メールを1通書くときでさえ、ついついAIに頼ってしまいがちです。
ところが少し使ってみるとすぐに気が付くんですけど、AIの書く話って正直イマイチ面白くないんですね。
今のところ、速くて便利だからっていうだけの理由で、面白さには目をつぶってバンバン使っていますけれども、このままだと早めにうんざりしそうな気がします。
ただし、面白さを要求されない分野ではAIライティングが人間の書いた記事を圧倒するでしょう。
そんな今日このごろ、AIの巨大な波に翻弄されないためにも、物語を作る上で「アップデートせざるを得ない知識」と、「いつの世も変わらない知恵」とを見分けることが重要だと思うわけです。
そこで、世界中で物語生成に使われているAIの噂や情報を集めてみると、その未来と問題点が見えてきました。
YouTube ShortsがAIで進化!
Title: YouTube tests AI-generated storylines for short-form content creators
Source: TechCrunch(2025年5月22日)
YouTubeが、ショート動画制作者向けにAIによるストーリーライン自動生成機能のテストを開始。ジャンルや制作者のスタイルに応じて、プロットの骨組み、シーン展開、感情の盛り上げポイントを提案。初心者でも視聴者の関心を引く構成を設計できるよう支援しつつ、創造性の主導権は制作者に残す設計だそうです。
AIでショート動画に脚本革命
ショート動画の爆発的成長により、コンテンツ制作者の裾野は広がっているものの、構成力や物語性の欠如が課題に。YouTubeはAIの力を借りて、初心者でも視聴者を引き込む「魅せる構成」を設計できるように支援。これはTikTokやInstagramとの競争戦略の一環でもあります。
パリ発・AI物語生成ツール最前線
Title: AI storytelling takes center stage at Paris AI Festival
Source: TechCrunch(2025年5月20日)
パリAIフェスティバルで、生成AIによるストーリーテリングが主役に。OpenAIやMeta、フランスの新興企業StoryRootが、リアルタイム物語生成、対話型フィクション、メディア横断コンテンツ創作などの最新ツールを紹介しました。一方で、「誰が物語の作者なのか」「オリジナリティはどう保たれるのか」といった懸念も議論されました。
AIストーリーテリングの潮流と課題
欧州では生成AIを活用した「物語の革新」が急速に進んでおり、エンターテインメント産業・教育・出版分野において具体的なツールと事例が次々に登場しています。フランスの文化政策もこの流れを支援し、技術革新と創造性の融合を促進する姿勢を明確にしています。
中国にウェブトゥーン量産時代の到来?
Title: Tencent introduces AI Story Studio for digital creators
Source: TechCrunch(2025年5月15日)
テンセントが新たに発表した「AI Story Studio」は、ウェブトゥーンやオンライン小説を手がけるデジタルクリエイター向けの創作支援プラットフォームです。中国の若手クリエイターをターゲットに、脚本、セリフ、キャラクターの成長軌道の自動生成に加え、ビジュアルパネルの提案機能も搭載。中国語(普通話・広東語)にも対応しています。
若年層を狙った創作支援
中国ではオンラインコミック(ウェブトゥーン)や小説の市場が若年層を中心に急成長中。テンセントは、この分野の競争優位を確保するため、生成AI技術を組み込んだ創作支援ツールを投入。AIが言語や物語構造、視覚表現まで一貫してサポートすることで、量産化と質の両立を目指す戦略です。
NetflixがAIで「あなた好み」のドラマを作る?
Title: Netflix tests AI-generated storylines in international markets
Source: BBC(2025年5月14日)
Netflixが、AIを使ったストーリー自動生成システムを一部の国際市場で試験導入しています。視聴地域ごとの文化や言語、嗜好に応じてプロットを調整するもので、ローカライズ効率の高さが注目される一方、創造性や物語の深みに対する懸念も指摘されています。
視聴者ごとにプロットを変えるAI新戦略
グローバル展開するエンタメ企業にとって、地域ごとに異なる文化背景や嗜好に対応することは重要課題です。Netflixは、従来の字幕・吹き替えに加えて、プロット自体を視聴者ごとにAIで生成・調整する新戦略を試験中。これは大規模言語モデル(LLM)と視聴者行動データを融合させた取り組みで、ストリーミング業界に新たな可能性を提示しています。
AIの役目と問題点
AIが構成上の弱点を補い、キャラクターアークや対話の設計を担当することで、創作者はより「演出」や「世界観」に集中できるようになります。
リアルタイムでインタラクティブな物語を生成する機能は、読者やプレイヤーが“共演者”として物語に参加できる未来を描いています。
多言語圏では、地元文化に根差した物語がユーザーとのエンゲージメントを高めると考えられますが、AIならではの言語や文化に合わせた物語設計は、グローバルでの視聴体験の均質化に寄与します。
一方で、創作の画一化や感情の薄さといった課題も残ります。
AIが作る物語には“作者の魂”や“物語に込められた思想”が欠落する恐れがあり、「大量生成」と「人間的な物語」のバランスをどう取るかが今後の焦点になります。
コンテンツ制作のスピードと質の両立という業界のニーズには「同質化」のリスクも否定できず、AIテンプレートに依存した内容ではオリジナリティが損なわれかねません。
物語の「著者性」や「独自性」をどう担保するのか、AIが書いた物語を“誰のもの”とみなすかという倫理・法律面の議論も避けて通れません。
今後は、AIを創作のツールとして正しく位置づけ、クリエイターとの協働方法を整備することが、文化と政治とビジネスの共存を成功させる鍵となるでしょう。
でもまあ、ぴこ山ぴこ蔵が最も気になったのは、AIとの物語共同創作のニュースが日本からはほとんど聞こえてこなかったことです。
日本だけが乗り遅れるような事態にならないように、AIとの共同創作における課題について、私たちはさらなる議論を重ねる必要があると思いますねえ。
人間の作家はどこまで関与すべきか?
ストーリーを作る魔法の道具箱“PLOTWIZARD TOOLBOX”は、その難問に対する一つの答えです。
このツールを制作するために、私は世界中のおとぎ話や短編小説から名作を選び抜いて構造を抽出しました。
そのロジックの無作為な組み合わせが、ストーリー展開に思いがけないハプニングをもたらします。それはもうミラクルといってもいいと思います。
そこから生まれる謎のプロンプトを、お好みのAIにペーストするだけ。
後は自動的にあなただけのプロットが生成されます。
そしてここからが重要なのです。
実はこの調子でAIに全てを書かせると、物語に“魂”が入りません。なんだか正論でお説教されているような、どこか空疎な筋書きになってしまうのです。
ですから、ココだけの話ですが、“PLOTWIZARD”は、物語にとっていちばん大事なところを作者にお任せする仕組みになっています。
それは「結末」です。
……詳しくはこちら↓↓↓でお読み下さい。実例を紹介しておきました。
おっと、一つ書き忘れておりました。
早めに来ちゃった梅雨、少しでも爽やかな気分になっていただくために、期間限定の“PLOTWIZARD”割引キャンペーンを行います!
「梅雨をぶっ飛ばせ!」を合言葉に、6月3日(火)まで、特別価格で提供します!
この機会に“PLOTWIZARD TOOLBOX”で、AIの正しい使い方を身に着けてください!
さて、先週に引き続いて「有料版」では、ChatGPTのStory Weaverを使ってストーリーを作ってみるレポートを公開しています。
今回は単なる怪物退治に留まらないように、ぐぐっとひねった設定にしてみました。怪物を、主人公が解決すべき「問題」ではなく、そのための「切り札」にメタモルフォーゼさせたのです。おかげでよくあるベタな冒険譚が、複雑で壮大な背景を持つ成長物語にスケールアップしました。
その工程を全て公開します。AIに思った通りのストーリーを書かせるためには、どのポイントでどんな指示をすればいいのかが一発でわかります。
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※有料版では他にも、AI任せでは難しい「どんでん返し」の作り方を研究中! 月に一度の添削セッション『世界ドンデニスタ会議』を毎月最終土曜日の夜に開催しています。
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