【物語創作】シリーズ第ニ回:作品を読んでもらう前に書かなければならないもの
ファクト→ストーリー→プロット。
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物語の「外側」にも、物語がある
こんにちは、ぴこ山ぴこ蔵です!
あなたが一冊の本を世界に送り出すとき、実は書かなければならないのは、その本の中身だけではありません。
イベントへの参加申込フォーム。個性という名の旗を高く掲げるプロフィール文。それを三倍増しに膨らませた自己紹介。その自己紹介から自然に流れ出す体験談。さらに深化させたエッセイ。告知ライブのシナリオ。SNSに放つコピー、キャッチフレーズ——。
気づけばあなたは、本編とほぼ同等のボリュームを、本編の「外側」に費やしています。
今回はこうした文章群を、便宜上まとめて「記事」と呼ぶことにします。告知文も、プロフィールも、キャッチコピーも、全部ひっくるめて。
さて、ここで正直に言っておきます。
プライドの高い書き手ほど、この「記事」という仕事を、どこかついでのものとして扱ってしまいがちです。
「はいはい、告知でしょ、コクチ!」
——そんな気持ちで書いてしまったことが、あなたにはないでしょうか。本編には魂を込めても、周辺文書には事務的な指を走らせてしまう。自分のことを語るのは気恥ずかしく、「買ってください」と訴えることは何となく品がない気がして、あるいは自分の作品の値打ちを自ら下げるような気さえして。
しかし、立ち止まって考えてください。
その「記事」を読む人は、あなたの作品を読む人と——まったく同じ人ではありませんか!
ならば、話は単純です。
「記事」を書くときも、物語創作の本質はなにも変わらない。読者に「次」を読ませる力——それだけが、作者の唯一の武器です。
物語が持つ最大の推進力は何か。予定調和の拒否、であります。読者が「Aだろう」と思った瞬間に、Bを差し出す。その一瞬の裏切りと驚きが、人を次の行へ、次のページへと引きずり込むのです。
これは、告知文でも、プロフィールでも、SNSのコピーでも——まったく同じように機能します。
「Aだと思ったらBだった」
この原則は、あなたの作品の中にだけ宿っているわけではありません。作品の外側に書かれるすべての言葉にも、等しく息づいていると知って下さい。
そして理解していただきたい。
あなたの物語は、本編の一行目から始まるのではないという秘密を。読者があなたの名前を初めて目にした、その瞬間から、すでに始まっているという恐るべき事実を。
読者の思い込みAを、真実Bへ変える
一歩進めるなら、記事の中に「認識の反転」を入れると効果的です。
読者は最初、ある思い込みを持っています。
これをAとします。
たとえば、
A:記事には、感動的なエピソードが必要だ。
A:自分の体験を正直に書けば、読者に伝わる。
A:知名度を上げるには、作品の魅力を説明すればいい。
A:反応がないのは、投稿数が足りないからだ。
しかし、記事を読み進めるうちに、別の真実が見えてきます。
これがBです。
B:必要なのは、読者の認識が変わる「因果関係」の設計である。
B:体験談は、読者の悩みを照らし出すために使う。
B:作品の魅力ではなく、読者の変化を描く。
B:投稿数よりも、読者が次の行動を取りたくなる流れを作る。
このAからBへの移動があると、記事はただの説明ではなくなります。
読者の中で、小さなどんでん返しが起きます。
「あ、そういうことだったのか」
「自分はそこを間違えていたのか」
「だから今まで反応が出なかったのか」
この気づきが生まれたとき、読者は作品に興味を持ちやすくなります。
なぜなら、その物語が、単なる娯楽ではなく、「自分の見え方を変えてくれるもの」に見えるからです。
体験談は、素材であって完成品ではない
ここで大事なのは、あなたの体験談そのものを過信しないことです。
体験談は、強力な素材です。
でも、それだけでは完成品ではありません。
料理で言えば、いい食材があるだけでは、おいしい料理にはなりません。
どの順番で火を入れ、どこで味をつけるか。
何を主役にして、最後にどんな余韻を残すか。
それを決める必要があります。
記事も同じです。
過去の失敗。読者との会話。
この物語を書いた理由。
創作を始めたきっかけ。
うまくいかなかった経験。
ある日ふと気づいたこと。
これらは、すべて素材です。
しかし、そのまま並べるだけでは、読者は「なるほど」で終わります。
読者の認識を変えるには、その素材をプロットに組み直す必要があります。
つまり、時間の逆行です。「なぜ?」と問い直す度に気づきが起こります。
なぜその問題が起きたのか。
なぜ多くの人が誤解しているのか。
その原因に気づくと、なぜ変わるのか。
なぜ、変わらなければならないのか。
この順番で体験談を再配置すると、ただの思い出が、読者を動かす記事になります。
記事を書く前に決めるべき5つのこと
実際に記事を書く前に、次の5つを決めてみてください。
1. 読者は最初、何を信じているのか
読者が持っている思い込みを決めます。
たとえば、
「毎日投稿すれば売れる」
「実績がないと発信してはいけない」
「自分の体験は平凡だから価値がない」
「説明を丁寧にすれば売れる」
「感動的なストーリーを書けば反応が取れる」
ここが、記事の出発点です。
2. 記事を読んだあと、何に気づいてほしいのか
次に、読者の到達点を決めます。
たとえば、
「毎日投稿するより、読者の認識変化を設計することが大事だ」
「平凡な体験でも、因果で組み直せば価値になる」
「作品説明ではなく、読者にもたらす変化を描くべきだ」
「記事には、ストーリーよりプロットが必要だ」
ここが、記事の結末です。
3. その気づきに至るための失敗や違和感は何か
読者が「たしかに」と思うためには、途中に失敗や違和感が必要です。
うまくいかなかった経験や、誤解、遠回り。
誰かに言われて気づいたこと。
自分では正しいと思っていたのに、反応がなかったこと。
このネガティブな部分があると、記事に現実味が出ます。
きれいごとではなくなります。
4. なぜ、それが起きたのか
これこそがプロットの形です。
出来事だけではなく、「なぜそうなったのか」を書きます。
反応がなかった。
なぜなら、読者の悩みではなく、自分の言いたいことを書いていたから。
説明が伝わらなかった。
なぜなら、読者がどう変わるかを描いていなかったから。
体験談が読まれなかった。
なぜなら、読者の気づきにつながっていなかったから。
この「なぜならば」が入ると、記事はプロットになります。
ここまで読んで、
「自分の記事も、ただ出来事を並べていただけかもしれない」
「読者の認識が変わる流れを作れていなかったかもしれない」
と思った方は、一度、自分の発信をプロットとして見直してみてください。
記事を単なる日記や告知ではなく、読者の認識を変える導線として設計すると、作品世界への誘導が自然になります。
読者にとって、売り込みではなく、次の一歩になるからです。
まとめ:記事の目的は「出来事の報告」ではなく「認識の変化」
自分の記事に物語構造を取り込みたい。
そう考えたとき、多くの人は「自分の体験談を入れよう」と考えます。
それは間違いではありません。
けれど、本当に大事なのは、感動的なエピソードを書くことではありません。
読者の認識が変わるように、出来事を因果関係で組み直すことです。
ストーリーは出来事の順番決めであり、プロットは原因と結果の特定です。
あなたの作品に誘導したいのなら、必要なのは「いい話」ではありません。
読者が、
「自分の間違いはそこにあったのか」
「今まで見ていた場所が違ったのか」
「だから、この記事を読む必要があるのか」
と気づく流れです。
その流れを作るために、結末から逆算する。
読者の思い込みAを、本当の気づきBへ移動させる。
自分の体験談を、読者の変化のために並べ直す。
それが、記事にプロットを取り込むということです。
あなたが書くべきなのは、ただの「私の物語」ではありません。
読者が自分の問題を見直し、次のページをめくりたくなるための、認識変化のプロットなのです。
次回は、ぴこ山ぴこ蔵の無料LIVEについての最新ニュース。物語づくりの原点に帰ります。どうぞお楽しみに!
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