「怪物退治」×「都市伝説」のプロンプト

シンプルなだけに単調になりがちな怪物退治のシナリオを、よりドラマチックな物語に育てるために、「都市伝説」の要素を加えてみましょう。現実世界に魔物が侵入するローファンタジーから、主人公が魔界に迷い込むハイファンタジーへ。めくるめく冒険の旅が始まります!
ぴこ山ぴこ蔵 2024.06.24
誰でも

名言の怪物と都市伝説のコラボ

お元気ですか? ぴこ山ぴこ蔵です。

面白い物語を作りたければ、そのコアとなる面白いアイデアをたくさん発想する必要があります。アイデアの全てが作品として完成するわけではありませんし、作品化できたとしても読者や観客やプレイヤーに受け入れられるとは限りません。

ストーリーがヒットするかどうかは、運やタイミングやその他諸々の要素が関わってきます。そこで大事なのは「数をこなす」ことです。多作な作家は得られるチャンスも多くなります。

といっても、完成した本編を作るのは大変です。長編小説を毎月書き上げることは出来ませんし、漫画や脚本をビジュアルにするのはなおさら難しいわけです。ましてやゲームシナリオをプログラミングするなんて下手すると年単位で時間がかかります。

そこでまずは「あらすじ」や「ネーム」の段階でストックしていくことになります。ところが、あらすじを作るのだってこれまた簡単な作業とは言えません。生産力を上げる訓練が不可欠ですが、そうそういいアイデアが浮かんでくるわけもありません。早くたくさんのプロットを作らねばならない時に、オリジナルの、しかも誰も見たことのない物語を考えるのは、あまりに手間がかかります。

そこで私は、きっかけとなる大筋作りに既存の物語のパターンを利用することをおすすめしています。基本となるストーリー構造が出来ているので手間がかかりません。最初にキャラや世界観を作り込んでしまい、その制約がストーリー展開の邪魔をして話が完成できないという「よくあるミス」も防げます。物語のベースに自分のキャラや世界観を乗せていく練習になる上に、結果的にストックも増えます。

では、具体的にどうすればいいのでしょうか?

生成AIでマッシュアップ

ここで生成AIを使うのです。

アンケートの結果でも前回の「名言の怪物化」プロンプトの評判が非常に良いので、今回はもう少し深堀りしたいと思います。

あのプロンプトによって、すでにあなたは、偉人たちの名言からいくらでも怪物を生み出すことができるはずです。(まだ手に入れていない人は前回のバックナンバーをお読みください)

とは言え、いくら生成AIを使っても『怪物退治』のシナリオのパターン自体は数が限られています。

そこで今回は、ある材料を追加することで、ストーリーのトーンを変え、世界観のバリエーションを増やしてもらいたいと思います。例えば熱帯の沼地が舞台の話と、極北の荒野をさまよう話とでは、作者の気分も登場人物の行動もずいぶん違ってくるはずですから。

そもそも「怪物退治の物語」の基本的な条件はごく単純です。

・怪物が出現する

・主人公が神業や魔法のアイテムを獲得する

・主人公が怪物を倒す

このシンプルなシナリオをベースに「リアリティーのある世界観」や「多様なキャラクター」、そして「斬新なシチュエーション」などを好みの配合で加えていくことで、思いもつかない物語が出来ていきます。

その時、混ぜ合わせる原料として非常に効果的なのが「都市伝説」です。都市伝説をプロンプト内に挿入するだけで、生成AIがあなただけの怪物退治ストーリーを作り出してくれます。

さっそく実践してみよう!

物語のベースとなる素材は2つ。

(1)怪物を生み出すための「誰かの名言」

(2)物語の世界観を作るための「都市伝説」

まずはこれらを入力する必要があります。

ちなみに今回は、前回も使ったブルース・リーの名言を最初の<>内に書き込み、ぴこ蔵特製ツールを使って構成された『都市伝説』を次の「」内に挿入してみました。

↓↓↓↓↓↓プロンプトはこちら↓↓↓↓↓↓

<私は1万種類のキックを1回ずつ練習した人を恐れない。しかし、1つのキックを1万回練習した人を恐れる>

という文章から、怪物を作りたいです。さらにその怪物を

「主人公はある動物園で一人の占い師と出会い、その人物から不思議な話を聞くことになる。『地下の暗闇の中をゴンドラが疾走するという設定の大人気アトラクション。ところがその夜、佳境を迎えたところで、突然乗り物が止まってしまった。しばらくして懐中電灯を持ったスタッフが現れて言った。「外まで歩いて誘導しますので照明を付けますが、ここで見たことは絶対に口外しないでください」なぜ口止めをするのか? と客が疑問に思ったその時、灯りがつけられた。目に飛び込んできたのはコースいっぱいに貼り付けられた大量のおふだだった…。信じないかもしれないが、これは自分が本当に体験した話なのである』それを聞いて我に返った主人公は、いつしか自分自身もその都市伝説に巻き込まれていることに気づく。――そして主人公は九死に一生を得る。」

というストーリーに登場させてください。

#### 対象となる文章からプロットを作成する

- 主人公を設定する:主人公は中世ファンタジーRPGに登場する「勇者」。<>に挿入した文章の提示する問題点を具体的に体現する怪物と対決することになり、その怪物をうまく退治するためにはどうすればいいかを考えています。

怪物には恐ろしげな見た目の特徴の説明と名前をつけてください。

- ストーリーの要素を抽出する:「」の中に書かれたストーリーから主人公が解決すべき問題、対立する敵や障害、達成したい目的を抽出してください。

- 敵の能力を抽出する:<>の中に書かれた文章から抽出した問題点を基に、敵となる怪物はどんな能力を持っていて、その活動の最終的な目的とは何かを、具体的に表現してください。

- ストーリーの要素を識別する: 主人公が達成すべき目的を提示し、敵や障害を克服し、問題を解決するまでのプロセスが明らかになるプロットを作成してください。

- 時代や舞台の現代化: 物語の舞台は現代の日本とします。主人公やアイテムの名前は日本の一般的なものにしてください。

#### そのシナリオに従った物語を起承転結の形で出力してください。

↑↑↑↑↑↑プロンプトここまで↑↑↑↑↑↑

▼成果物

### ストーリー概要

#### ストーリーの主人公設定

主人公、伊藤太一は普通の大学生ですが、好奇心旺盛で冒険心が強い性格です。ある日、地元の動物園で開催されている特別展示を訪れた際、一人の占い師と出会い、彼から不思議な話を聞かされます。

#### 怪物の設定

怪物の名前は「万習鬼(まんしゅうき)」。見た目は古代の武士のような装束を身に纏い、無数のおふだが体に貼り付けられている姿です。その特技は、一つの攻撃を無限に繰り返すことで強力な力を発揮する能力です。

#### ストーリーの要素

- 主人公が解決すべき問題: 万習鬼が地下アトラクションに封印されており、その封印が解けかけているため、怪物を再び封じる必要があります。

- 対立する敵や障害: 万習鬼は自身の力をコントロールできず、周囲を恐怖に陥れる存在です。

- 達成したい目的: 万習鬼を再封印し、町の平和を保つ。

#### 敵の能力

万習鬼は、一度に複数のおふだを放つことで周囲の生物や物体に呪いをかける能力を持っています。また、自分が受けたダメージを周囲に反射する特技も持っています。

### 物語の展開

- 起: 太一が動物園のアトラクションで占い師と出会い、不思議な話を聞く。話の内容に興味を持ち、調査を始める。

- 承: 万習鬼の存在を知り、その封印が弱まっていることを知る。太一はおふだの力を使いこなす術を学ぶ。

- 転: 万習鬼との直接対峙。太一は習得したおふだの技を使い、万習鬼に立ち向かう。

- 結: 万習鬼を再封印に成功し、町に平和が戻る。太一は普通の生活に戻るが、常に警戒心を持つようになる。

この物語は、現代日本の普通の大学生が伝説の怪物と戦うという現代的な要素を取り入れたファンタジーです。

都市伝説を使いこなすために

ChatGPT4OMNIも無料化されたことですし、このプロンプトにお好きな名言や都市伝説を入力して、あなただけの「怪物退治」を生成してみませんか?

ちなみに今回は、ぴこ蔵の創作講座に付属するWEBツールを使って呼び出した、典型的な都市伝説を使用しました。このツールは、意外に時間がかかる「面白くて使いやすい都市伝説」探しの手間を省くために作ったものです。

有名で印象的な最近の都市伝説だけでなく、柳田國男の「遠野物語」からも代表的な逸話を集めています。

さらに、多くの作家たちが使っている「怪談を語るための特別な設計図」を用いて、都市伝説の可能性を目一杯引き出しています。

すでに販売終了していましたが、久しぶりに自分で使ってみたら超便利だったのでびっくりしました。ぜひあなたにも使っていただきたいと思います。

せっかくなので、本日から2日間だけ(2024年6月25日まで)の期間限定で再発売します。

一瞬だけの復活で申し訳ありませんが、手に入れておきたい方はこの機会にぜひどうぞ! 『都市伝説』の使い方を動画とPDFとWEBツールで徹底攻略する、ボリュームたっぷりなのにリーズナブルな講座です。

ぴこ蔵の都市伝説セット

サンプルをもう1つ

都市伝説の世界設定を舞台に、名言から生まれたオリジナルの怪物が暴れまわるという話が速攻で生成されるのが楽しくて、先ほどと全く同じプロンプトでもう1タイプ作ってもらいました。

「アンダーワールドの一技鬼」

### 怪物の設定と物語のプロット

#### 怪物の設定

怪物の名前は「一技鬼」(いちぎおに)。一技鬼は、一つの技――影を操る能力を極めた存在です。その影は実体を持ち、他者の影を操ってその人の動きを完全にコントロールできます。見た目は、長くたなびく暗黒のローブに覆われ、目元だけが光る謎めいた姿です。

#### ストーリーの要素

- 主人公: 現代日本に住む若者、佐藤健(さとうけん)。一般的な大学生だが、ある日動物園で謎の占い師に出会い、不思議な話を聞かされることから冒険が始まる。

- 解決すべき問題: 動物園の地下アトラクションで一技鬼が引き起こす異常現象。

- 対立する敵や障害: 一技鬼とその影を操る能力。

- 達成したい目的: 一技鬼を倒し、アトラクションを正常に戻す。

#### 敵の能力と目的

一技鬼は影を操ることで、人々を自分の意のままに操る能力を持っています。その最終的な目的は、自分が支配する世界を創り出すことです。

#### ストーリーのプロット

##### 起

佐藤健は友人たちと動物園を訪れるが、地下のアトラクションで突如ゴンドラが停止。占い師から聞いた都市伝説が現実のものとして目の前に現れる。

##### 承

健は一技鬼の存在を知り、その影がアトラクションの異常事態の原因であることを突き止める。一技鬼が影を通じて人々を操り、彼らを自分の世界に引き込もうとしていることを知る。

##### 転

健は占い師から受け取った特別なお守りを使い、一技鬼の影と対峙する。一技鬼の影を封じ込めるため、健は友人たちと協力し、影を物理的に閉じ込める戦略を立てる。

##### 結

最終的に健と友人たちは一技鬼の影を封じ、アトラクションを正常に戻すことに成功する。一技鬼は再び封印され、健は普通の生活に戻るが、これからも未知の危険に備える決意を新たにする。

─────────────────

ついでに、生成AIにこの物語をイラストにしてもらいました。おお、なんともご機嫌な世界観ではありませんか。実写版のカンフー映画を作ってみたいです! がんばれ、佐藤健と仲間たち!

都市伝説を使ったシナリオ制作のメリット

都市伝説には他にもさまざまなメリットがあります。

・語りのスタイルがはっきりしていてジャンルが豊富

・「怖がらせる」という目的があるので話が分かりやすい

・興味を掻き立てる不思議な話が作れる

・元ネタが短いため加工しやすい

・噂話なので著作権がフリー

・印象的なショート作品が作れる

最後にもう一度、そんな都市伝説の語り部になれるWEBツール付きの動画講座をご案内します。

6月25日(火)までの期間限定販売

お申し込みは今すぐ!

ぴこ蔵の都市伝説セット

あなたも都市伝説を使って、多彩な怪物退治の物語を作ってみませんか?

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