AIでホラー速成・その3「LIVE開催」編

序盤では主人公が問題に巻き込まれる。中盤では主人公が敵と決定的な対立を迎える。そして終盤では主人公の目的を問い直す。この3つのポイントを意識するとストーリーが構築しやすくなります。ただしホラーの場合、必ずしもハッピーエンドが求められるわけではありません。恐怖の絶叫によるカタルシスというものがあるのです。そのあたりを計算しつつ中盤からの展開を作りましょう。
ぴこ山ぴこ蔵 2024.07.18
誰でも

<第3段階>中盤からクライマックスの創り方

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前回までのまとめ

こんにちは、ぴこ山ぴこ蔵です!

1日目、2日目では物語の始まりと終わりのパートを作りました。

ここまでをまとめると、こうなります。

  • 「都市伝説ツール」で素材を作る

  • 「ストーリー化プロンプト」で物語にする

  • 「要約プロンプト」で魅力を抽出する

  • 「結末プロンプト」で結末を決める

  • ミニマルなあらすじを合成する

1つのツールと3つのプロンプトを使えば5分でここまで出来ます。トラブルやアレンジや修正を含めても長くて30分ぐらいです。ただし、楽しすぎて沼にハマる可能性は否めません。とは言えあらすじ作りは自分を探す不思議な遊びなので、あなたはきっと時が経つのを忘れることでしょう。

この後は物語の中盤とクライマックスを作れば、ホラーストーリーがいよいよ完成します。

秘技! ストーリーマッピング

今回、物語の中盤とクライマックスを作るために解説するのは「ストーリーマッピング」という創作テクニックですが、実はこれ、生成AIに命令してもなかなかうまく行きません。

なぜなら、そこには『逆算』という要素が入ってくるからです。

お急ぎのところ悪いのですが、ちょっとだけ屁理屈を言わせてください。

生成AIが自然言語処理に使用しているLLM(大規模言語モデル)は、人間の自然な会話や文章に対して高い確率を割り当て、文章として成立しない単語の並びには低い確率を割り当てます。

つまり生成AIは、選択肢の中から最も高い確率の単語の並びを採用することで、違和感の少ない文章を出力するわけです。

ところが、面白い物語に不可欠な「意外な展開」というのは、まさにこの「違和感」を作り出すことに他なりません。

ですから、生成AIに「意外な展開」を作らせるためには、あらかじめ「出現確率の低い単語の並び」をゴールとして指定しておいて、そこまでの道筋をLLMに『逆算』させる必要があります。

なんだかひねくれ親父の関節技みたいな、ねじれにねじれた手法であります。

ぴこ蔵なんぞがこの矛盾を克服するプロンプトを作るのは、正直まだ荷が重いのであります。

そのうち誰かが作ってくれるのを待ちたいと思いますが、まあなんとかアナログ方式でも説明できるので、今回は無理な背伸びをせずに粛々と図解で進めたいと思います。

手順5.ストーリーマップを作ろう

物語の展開に大きく関係してくるのは「登場人物の人数」と「舞台の移動」です。

ストーリーを進行させるためには、主人公がある登場人物と出会って情報を手に入れ、別の登場人物に会うために次の舞台へと移動する、そしてまた新たな出会いがあり……という行程を繰り返すことになります。

ホラーストーリーの場合、少なくとも3人から4人の登場人物が必要です。

例えば、主人公、問題解決の依頼人、被害者、敵などですね。(このうち「被害者」はいくらでも増やせますが、依頼人に兼用させれば人員削減も可能になる便利なキャラです)

舞台となるのは、主人公が他の登場人物と遭遇する場所ということになります。

それでは本日の肝となる「ストーリーマップ」の1つを紹介します。

主人公が最初の登場人物Xと出会ったところから物語は動き始めます。

Xは主人公を問題に巻き込むという意味で「問題解決の依頼人」という役目を果たします。

ここまでが物語の【序盤】です。

次に、主人公はXから何らかの情報を得た結果、被害者Yの救出に向かいます。

ここまでが物語の【中盤】。

そこで本物の敵であるZの存在を知り、最終決戦に臨みます。

この最終決戦が物語の【終盤】でありクライマックスです。

そして物語の【結末】では、主人公の目的が変化します。猪口才なことを申しますと、生きるとは変わっていくことであり、物語とはその寂しさを伝える技術なのです。

それでは「ストーリーマップ」に具体的なエピソードをはめ込んでいきましょう。

手順6.【中盤】と【終盤のクライマックス】

前回作ったミニマルなあらすじで、すでに物語の【序盤】と【結末】は出来ています。

***

【序盤】

新聞社の見習い記者、佐藤美咲は、都市伝説や怪奇現象を取材するため、廃墟のコンビニを訪れる。そこで中年の男Xに出会い、彼から「神を祀る池の祟り」の話を聞く。その男は池で不思議な体験をした後、人生が狂い始めたという。男が去った後、美咲の周りで奇妙な出来事が起こり始め、記事に覚えのない文章が混じったり、自室の壁に見覚えのない池の絵が描かれていたりする。絵の池の水面が本物のように揺らめき、美咲は恐怖に包まれる。

【結末】

美咲は呪いの力に翻弄され、邪悪な存在の存在を認めざるを得なくなる。科学的アプローチを放棄し、オカルト信者へと転向したのであった。

***

先程のストーリーマップを使って【中盤】と【終盤】を作ってみましょう。

「敵であるZの存在を知り、最終決戦に臨む」というくだりです。

まずは敵との対立を決定的にするために「被害者Y」が必要です。

主人公の恋人ということにすれば、救出しなければならない理由が発生しますね。

このように、登場人物は必要に応じて唐突にキャスティングしてかまいません。人間関係の辻褄合わせはさかのぼって張り込めばいいのです。例えばプロローグで主人公が何やらただごとではないインタビューを受けているとか、主人公と被害者が結婚式場探しをしている場面を書いておくとか。これが伏線です。

最後の登場人物は「敵Z」です。今回はホラーなので人間でなくても大丈夫です。対決の行方はすでにあなたが選んだ【結末】によって提示されていますので、その方向に話を紡いでいきます。

***

【中盤】

佐藤美咲が自分の記事に書いた覚えがないのに混入していた見知らぬ住所を訪れると、そこは絵に描かれていた不気味な池だった。池のそばに行方不明になった恋人のスマホが落ちており、データには水源の祠の写真が残っていた。祠に着くと恋人Yは巨大なミズグモ(Z)によって捕らわれていた。

【終盤】

激しい戦いの末に、佐藤美咲はミズグモを倒した。しかし、囚われていた恋人Yはすでに絶命しており、その体からは何百匹ものミズグモの幼生体が這い出して、美咲に迫ってくる……。あまりのことに美咲は意識を失う。数カ月後、自我を取り戻した美咲は、ミズグモを神と崇めるカルト宗教団体の教母となって儀式を執り行っている自分を発見するのだった。

***

それでは最後に全部のパートを合体させましょう。

***

【プロローグ】

一年ぶりに見た佐藤美咲の顔は以前と変わっていなかった。しかし、その目はどこか虚ろで、その割に奇妙な力に溢れていた。記者は尋ねた。「佐藤さん、ジャーナリストだったあなたが突然カルト団体の代表になってしまった経緯と、あなたの婚約者が怪死した事件とは何か関わりがあるのですか?」

すると佐藤美希は静かに語り始めた。

【序盤】

新聞社の見習い記者、佐藤美咲は、都市伝説や怪奇現象を取材するため、廃墟のコンビニを訪れる。そこで中年の男Xに出会い、彼から「神を祀る池の祟り」の話を聞く。その男は池で不思議な体験をした後、人生が狂い始めたという。男が去った後、美咲の周りで奇妙な出来事が起こり始め、記事に覚えのない文章が混じったり、自室の壁に見覚えのない池の絵が描かれていたりする。絵の池の水面が本物のように揺らめき、美咲は恐怖に包まれる。

【中盤】

佐藤美咲が、自分では書いた覚えがないのに、記事の文中に記されていた見知らぬ住所を訪れると、そこは絵に描かれていた不気味な池だった。池のそばに行方不明になった婚約者Yのスマホが落ちており、データには水源の祠の写真が残っていた。祠に着くと婚約者Yは巨大なミズグモ(Z)によって捕らわれていた。

【終盤】

激しい戦いの末に、佐藤美咲はミズグモを倒した。しかし、囚われていた婚約者Yはすでに絶命しており、その体からは何百匹ものミズグモの幼生体が這い出して、美咲に迫ってくる……。あまりの恐怖に美咲は意識を失う。数カ月後、自我を取り戻した美咲は、ミズグモを神と崇めるカルト宗教団体の教母となって儀式を執り行っている最中の自分を発見するのだった

【結末】

こうして美咲は、かつての同僚だった記者に、自分が呪いの力に翻弄され、邪悪な存在の存在を認めざるを得なくなったこと。科学的アプローチを放棄し、オカルト信者へと転向したことを告白するのであった。

***

いかがだったでしょうか? これで800文字程度のあらすじの完成です。ここまで作っておけばいつでも本編制作に取りかかれますね。

……と言っても、サンプルを読んだだけでは簡単には理解できませんよね。

ワークショップを開催します

そこで、ここまでの流れを実際に体験できるワークショップを開くことにしました。

あらすじ作りを、最初から最後まで一気通貫で、ぴこ蔵と一緒に実践してみませんか?

生成AIを効率よく使うためのツールやプロンプトは、自分だけだとハードルが高くてなかなか手が出しづらいものです。

しかし、食わず嫌いを克服して一口つまみ食いしてみるだけで、世界は変わります。

あなたがやることと言えば、1クリック。あるいは一言だけの文字入力。せいぜいがコピペ。

それだけで面白さのツボを押さえた「あらすじ」がどんどん作れるようになります。

「物語作りの下準備」と言う名の雑用を片付けるのに掛かっていた時間が、10分の1、いや100分の1に短縮できます。

そうやってひねり出した時間は全て本編の創作に充ててください。

特に、今回の「ストーリーマップ」にはまだ他にもいくつかのパターンがあります。先ほども書いたように、生成AIにはまだまだうまく使いこなせないスキルです。

だからこそ、あなた自身がやり方を覚えるしかないのです。

授業の中でそのパターンを「人間向け」にしっかり解説しますので、ぜひ全てを手に入れていただきたいと思います。

もちろん参加者には今回使用した全てのツールとプロンプトを差し上げます。

授業の動画と資料もダウンロードしていただけます。

ぴこ蔵ライブ『生成AIで物語速攻創作 ホラー編』

Google Meetでオンライン開催します。

開催日時:

(1)8月3日(土)13:00から2時間程度

(2)8月4日(日)13:00から2時間程度

(3)8月5日(月)13:00から2時間程度

※チケットはどの回でも使えます。授業内容は同じですが、何回参加していただいてもOKです。

※参加URLはPDFに記載しておりますので、ご購入後にダウンロードしてご確認ください。

なお、サポートメンバー(ニュースレターの有料会員)は半額オフとさせていただきます。

下記の登録ボタンから「サポートメンバー」に登録していただくと他にもさまざまな特典が受けられます。よろしければぜひお願いします。

※新たに登録された方は、メンバーリストへの反映までにタイムラグが生じる場合があります。そんな時は大変すみませんが2,3日待っていただくようお願いします。お申込締切日までに何度か繰り返してクーポンコードをお知らせしますので、それが届くのを待ってからご購入ください。

ぴこ蔵ライブ『生成AIで物語速攻創作 ホラー編』

・申込締め切り:7月25日(木)

サポートメンバー特典! 世界ドンデニスタ会議

異様な盛り上がりを見せ始めています。

『世界ドンデニスタ会議』はサポートメンバー限定で月1無料開講している「どんでん返しマスタークラス」です。

うまくどんでん返しが作れないという悩みを持つ人に、毎回ぴこ蔵がゼロから一つ一つ丁寧に噛み砕いてその創り方を徹底的に指導します。何よりも大事なのは「反復練習」なのです。

まずは参加者による「どんでん返しアンソロジー」を電子出版することを目標に、ひたむきに研鑽を積んでいます。シンプルなのに奥の深いどんでん返しの世界を、完全に自分のものにしていただきたいと思います。

次回は7月27日(毎月恒例最終土曜日)の夜8時から開催します。

その熱気を報告するレポートを現在執筆中! どんでん返しの創り方を「最初の一歩」からレクチャーされた参加者が、どんなアイデアを出し、どんな添削を受け、どんな作品に仕上げたのか? まもなくその全てをこのニュースレターでお届けできますのでお楽しみに。

あなたのご参加をお待ちしております。

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