AI育成計画~物語速成術・ホラー編その1
生成AIを愛弟子にしよう!
こんにちは、ぴこ山ぴこ蔵です!
生成AIにストーリーを作らせたい!
そんな時に必要な要素は以下のとおりです。
・生成AIが果たすべき役回りを明示する
・生成AIの目標を指示する
・書いてほしい雰囲気を指定する
・具体的な条件を指定する
誰でも怪談噺の1つや2つは友達同士のおしゃべりのネタとして持っていると思います。今回はそれを使って、短編ホラーのあらすじを創作してみましょう。
ホラーはSNSでも手っ取り早く注目を集められる大人気ジャンルですが、時間をかけてのめり込むのはおすすめしません。怖い話ばかり考えていると体調を崩しますから、できるだけ素早く作りましょう。そんな時こそ弟子AIを使うのです!
<第1段階>
手順1.「怖い話」を準備する
まずは素材となるストーリーが必要ですが、よく耳にするベタな「怖い話」で充分です。
あなたのオリジナル作品があればそれに越したことはないのですが、何にもなければお馴染みの都市伝説をベースにすればいくらでも作れると思います。「口裂け女」「テケテケ」「カシマさん」「くねくね」「さっちゃん」「トイレの花子さん」などを検索してください。
その時間がない人は、弟子AIに丸投げすればいいのです。
ただし、注意点があります。
怪談を面白く語るコツは、以下の2段階構成を採用することです。
1)ある怪奇現象が語られる
2)その怪奇現象に聞き手が巻き込まれる
この構成を守りつつ、今回の弟子AI、claude3.5君(https://claude.ai/)に最初のあらすじを書いてもらいました。
今回の「元ネタ」は以下の通りです。柳田國男の『遠野物語』の1編をアレンジしたものです。
「主人公はある閉鎖された店舗で一人の泥棒と出会い、その人物から不思議な話を聞くことになる。『ある山中の小池に明神様を祀ってあり、昔からこの池に悪戯をすると祟りがあると言い伝えられている。ある男がそんなことがあるものかと言って、池の中に馬の骨や木石の類を投げ込んだ。するとこの男はその日のうちに行方不明になった。村中の者が数日間探し廻って見つからなかったが、半年以上も過ぎて池の周りの木の葉がすっかり落ちてしまうと、そこの大木の上にこの男が投げ上げられたような恰好で、もう骨ばかりになって乗っているのが発見されたという。……信じないかもしれないが、これは自分が本当に体験した話なのである』それを聞いて我に返った主人公は、いつしか自分自身もその都市伝説に巻き込まれていることに気づく。――そして主人公は災いに襲われる。」
このネタを物語化するように生成AIに命じて作らせたのが以下のあらすじです。
深夜の静寂を破り、ガラスの割れる音が響いた。新聞社の見習い記者、佐藤美咲は息を殺し、廃墟と化した古びたコンビニエンスストアの陰に身を隠した。彼女は都市伝説や怪奇現象の特集記事を担当しており、この夜も取材のために廃店舗を訪れていたのだ。
美咲の目的は単純だった。オカルトを否定する科学的なジャーナリストになるという夢を叶えるため、他の記者たちが見逃してきた真実を暴き出すことだ。しかし、この夜の出来事が彼女の人生を永遠に変えることになるとは、まだ知る由もなかった。
店内から物音が聞こえ、美咲は慎重に中に入った。懐中電灯の光が、埃っぽい棚と散らばった商品の残骸を照らし出す。突然、後ろから声がした。
「動くな!」
振り向くと、中年の男が立っていた。手には刃物らしきものが光っている。美咲は凍りついた。
「君か。俺を尾行してたのは」男は疲れた声で言った。「警察じゃないようだな」
美咲は震える声で答えた。「記者です。都市伝説の取材で...」
男はため息をつき、刃物を下ろした。「都市伝説か。それなら俺にも取材してもらおうじゃないか」
二人は古びたカウンターに腰掛けた。男は自己紹介もそこそこに、奇妙な話を始めた。
「ある山中の小池に古い神様を祀ってあってな。昔からこの池に悪戯をすると祟りがあるって言い伝えがあるんだ」
男の話は続いた。池を冒涜した男が失踪し、半年後に池の近くの木の上で白骨化して発見されたという。
「信じられねえだろ。でもな、これは俺が実際に体験した話なんだ」
男の目に狂気の色が浮かんでいた。美咲は背筋に冷たいものを感じた。
「あなた、なんでそんな話を...」
男は美咲の言葉を遮った。「俺はな、その池で何かを見てしまったんだ。それ以来、俺の人生は狂い始めた。仕事は首になり、家族にも逃げられた。今じゃ泥棒までやってる」
突然、店の外で車のエンジン音が聞こえた。男は慌てて立ち上がった。
「もう行かなきゃならない。でも覚えておけ。好奇心は時として災いを呼ぶんだ」
男は闇の中に消えていった。美咲は呆然と立ち尽くした。
その夜以来、奇妙な出来事が美咲の周りで起こり始めた。仕事中に突然の頭痛に襲われ、夜には不可解な物音で眠れない。そして、彼女の書いた記事の中に、自分で書いた覚えのない文章が混じっているのを発見した。
ある日、美咲は自分の部屋の壁に、見覚えのない池の絵が描かれているのを見つけた。絵の中の池の水面が、まるで本物のように揺らめいているような錯覚を覚える。
美咲は恐怖に震えながら、一歩近づいた。水面から何かが這い出てくるようなその絵に...…。
<終わり>
実は最初の元ネタもぴこ蔵特製の「都市伝説ツール」を使ってボタン一発で出力したので、ここまで作るのに正味5分もかかっていません。
なお、上記のあらすじについては、プロンプトの中で「物語の結末は読み手に委ねるように」という指示を出しています。AIには「結末作り」を任せられない理由があるのですが、それはまた明日のニュースレターで説明することにします。
手順2.あらすじを再度要約する
さて、次の作業は、上記のあらすじをもう一度コンパクトにまとめ直すことです。
「なんでまた短くする必要があるの?」とあなたは疑問に思うかもしれません。わざわざ物語化する意味がないような気がしますよね。
ところが、元の「短いネタ」をいったん「物語」に展開することで、古い物語に現代的なディテールが生まれます。この段階で掘り出されるいくつかのキーワードが、あなたの感性を刺激します。このキーワードを捕まえた上で、もう一度ストーリーを要約すると、重要なエッセンスが抽出されます。
これもまた生成AIを使えば「秒」で要約してくれます。なんとも優秀な弟子ではありませんか。
以下の文章は、いったん現代の物語として展開したものを再要約したストーリーです。
「新聞社の見習い記者、佐藤美咲は、都市伝説や怪奇現象を取材するため、廃墟のコンビニを訪れる。そこで中年の男に出会い、彼から「古い神を祀る池の祟り」の話を聞く。その男は池で不思議な体験をした後、人生が狂い始めたという。男が去った後、美咲の周りで奇妙な出来事が起こり始め、記事に覚えのない文章が混じったり、自室の壁に見覚えのない池の絵が描かれていたりする。絵の池の水面が本物のように揺らめき、美咲は恐怖に包まれる。」
いかにも明治時代の民間伝承らしいレトロな逸話が、恐怖感のコアだけ残して、いい感じにぼやけた現代劇になりました。これが欲しかったのです。
明日配信する次号のニュースレターでは、この再要約を使ってミニマルな全体像を構築します。そのテーマは『結末の設定』です。
ここまで来れば、いつでも物語化が可能なアイデアとしてストックできます。
弟子AIをどんどん使って、あなたのあらすじ倉庫を満杯にしましょう。
それでは次号をお楽しみに!
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